2020年年始からイーサリアムが9.3倍も上昇。
なぜこんなにも高騰したのか?
その背景には昨年注目を集めている分散型金融市場Decentralized Finance(DEFI)が要因に。
金融緩和によりビットコイン、株、金などの需要増加
上記は1989年~2020年の金利の推移です。
2008年のリーマンショック以来ずっと右肩下がりで、現在「超低金利」です。
投資家は、主にインカムゲイン(配当など)とキャピタルゲイン(売却益)によって利益を受け取りますが、このような「超低金利」時代にとっては銀行に預けていてもほとんど金利はつかず、インカムゲインによる収益は見込めません。
合わせて金融緩和による法定通貨の信用度が落ち、大きくキャピタルゲインが見込める暗号資産が買われていきました。
2020年の上昇率は、S&P500が15%、金が24%、ビットコインが380%、イーサリアムが528%と仮想通貨は群を抜いて比べ物にならないほど上昇。
ステーブルコインの需要
そして暗号資産市場にあふれた資産は、「ステーブルコイン」というものへ。
ステーブルコインは、円や米ドルなどと連動する価値がほぼ一定の暗号資産です。
理由は、
・暗号資産を追加購入するための現金手段として
・ステーブルコインのレンディングサービス(貸し付け)開始
などが主な理由です。
全体のステーブルコインの時価総額は2020年始から5倍近くまで増加。
ではなぜここまでに発展していったのか?
ステーブルコインのレンディングサービスの開始
ステーブルコインの大きな難点は、法定通貨と連動するためほぼ価値が変わらないので、ビットコインやイーサリアムなどとは異なり、「キャピタルゲイン(売却益)を生まない」というものでした。
ところが、最近になり暗号資産市場でも金融機関同様に「資金を貸すプレイヤー」が現れ始めて、ステーブルコインのレンディング(貸付)サービスが開始。
上記は、国内外の主な取引所のレンディングサービスの年利回りを銘柄ごとに並べたものです。
海外の取引所は冒頭で話をしました「バブル景気」並みの金利と同じくらいの年利回りになっています。
USDT、USDC、DAIなどのステーブルコインの方が、ビットコインなどよりも利回りが高くなっているのは、持っているビットコインなどを売却することなくさらに追加投資をするためにステーブルコインを借りたいという需要の現れです。
こうした流れにより、ステーブルコインで貸付を行うことで「インカムゲイン(運用益)」を受け取ることができるようになり急速に発展していったという流れ。
分散型金融市場(Decentralized Finance)の発展
レンディングサービスが開始した次に起こったのは、こういった金融サービスを提供するプロジェクト
通称分散型金融市場(Decentralized Finance)DeFiの誕生。
DeFiはブロックチェーン上に構築される金融サービス関連の総称です。
DeFiは現在はそのほとんどが「イーサリアムをベース」としてアプリケーションで動作しています。
金融取引や決済、ウォレットなどすべて分散化されたシステムで行うことができます。
先ほど説明しました、暗号資産のレンディングサービスの金利以上を見込めるとして多数の投資家が参入しました。
その結果、市場全体の預入額は、年始から23倍以上になる1.63兆円まで拡大。
DeFiの独自トークンの誕生
そしてDeFi市場がここまで盛り上がってきたのは、「独自トークン」の発行。
2020年の6月にCompoundがCOMPトークンを発行すると発表して、COMPトークンを配布しました。
市場で取引が開始されるとすぐに高騰して、大きな話題に。
これを通じて、他のプロジェクトも参入して、瞬く間に広がりました。
DeFiトークンは、貸し借りによるインカムゲインだけでなく、上昇からのキャピタルゲインも期待できるものとして普及。
上記はコインマーケットキャップから時価総額50位以内の2020年のDeFi関連銘柄の上昇率をまとめたもの。
2020年だけで、5倍、6倍、中には27倍以上も上昇したDeFiトークンも現れました。
DeFiとイーサリアムの関係性
そして「DeFi」と呼ばれるほとんどのアプリケーションが、「イーサリアムのブロックチェーン」で構築されています。
理由は「Solidity」というイーサリアムプログラミング言語が、非常に相性が良いため。
では、どのようなDeFi関連のサービスがあるかというと
分散型取引所(DEX)
通常の暗号資産投資家達は、運営元のある取引所にて売買を行います。
しかし、DEXはイーサリアムのスマートコントラクトという機能を活用して構築されたP2Pの取引所で運営元がいないにも関わらす、ユーザー同士が直接売買を行うことができます。
そのため手数料を削減することが可能。
Wrapped Bitcoin(WBTC)
Wrapped Bitcoinはビットコインをイーサリアムトークン化したもの。
イーサリアムのERC-20と互換性があるため、分散型取引所の使用、仮想通貨の融資、分散型金融システムDeFiなどを利用することが可能です。
価値はビットコインと連動しています。
流動性マイニング
例えば、UNISWAPでは、自分が持っているトークンを預けることによって、手数料をもらえます。
詳しくは上記の記事で解説しているので参考にしてみてください。
まとめ
分散型金融市場(Decentralized Finance)の発展
今回はイーサリアムが高騰している背景について解説しました。
イーサリアムが高騰している背景には、「DeFi」が明確に関連しています。
確かにDeFiはまだ発展途上の段階ではありますが、暗号資産投資家であればこの動向は抑えておいた方が良いですね。
なぜなら、その技術基盤にあたるイーサリアムがビットコインに次いで世界的に注目される日もそう遠くないかもしれないから。
さらに2020年12月1日は、イーサリアムの大型アップデートセレニティ(イーサリアム2.0)が実装されました。
今後、フェーズ0、1、1.5、2という全4段階で段階的に処理。
これによってイーサリアムのスケラビリティ(処理能力)が大幅に向上することが見込まれています。
さらなる進展に期待していきたいところです!
本日は以上になります。