リップルCTO「過去インターネットが変えたもの」
リップル社のデイビット・シュワルツ氏が過去UBRIで講義した内容になります。
UBRIというのは、リップル社が展開する大学ブロックチェーン研究会
(University Blockchain Research Initiative:UBRI)で、2019年の7月29日に日本の東京大学と京都大学が参加しました。
次世代の育成に向けた、ブロックチェーン技術の研究に関わる学生などに奨学金の支給なども行っているようです。
世界で最も困難な金融問題を解決していくことがグローバルの進展にもつながり、
そのために将来必要な人材の育成に投資していくそうですね。
私はインターネット革命を生き抜いてきました。
この中にも同じような人がいるでしょう。
また皆さんの子供たちはインターネットと共に育ち、情報というものが簡単に手に入る時代になり、昔の悪い状況は忘れられていくかもしれません。
かつては、情報というものは独占されているものでした。
もし株式市場の情報が必要であれば専用の回路を繋げなければいけなかったし、
情報が必要であればAP通信への回路を繋げなければいけませんでした。
なんというか、めちゃくちゃでした。
通信速度も当時は速いように感じられていましたが、低速でした。
今はいつでも猫の動画を見ることができますが、そんなことはできませんでしたし。
面白いことに、当時は全然遅く感じなかったのです。
むしろとても素晴らしく思えました。
新しい技術というのは常に良く見えるものです。
しかし、技術的に実現できていないこと、つまり「何が起こっていないか」ということには気づきません。
どれぐらいの人が知っているかわかりませんが、このスライドの右にある円盤は庭に置くカラス避けとしても使えますが、かつてAmerica Onlineという会社が皆さんにこれを発送し、彼らのネットワークを皆さんに使ってもらおうとしていました。
America Onlineはインターネットの前に存在していたデータプロバイダーです。
彼らのマーケティング手法はあなたたちの友達にどれだけ多く届けられるかと言うことでした。
しかし、競争相手も存在していました。
もし私がCompuServeを使っていて、あなたがAOLを使っているというように別のネットワークを使っていた場合、お互いにメールをするということは困難でした。
そのやり方もありましたが、がんばってそれを見つけてくださいねという感じです。
今はもうそんなことはありませんよね。
情報を交換するのに何の難しさもありません。
もし私があなたにメールを送りたい場合に、あなたが使っているインターネットサービスプロバイダーの情報を知る必要も気にする必要もありません。
ただメールアドレスが必要なだけです。
それで機能します。現在、プロバイダーの広告には「私たちはあなたが望むすべてのウェブサイトを持っています」などとは書かれません。
どのプロバイダーもすべての情報にアクセスできるので、こんなことは言うのはナンセンスだからです。いまや彼らはサービスやスピードで競争しています。
それはすべての人がすべての情報に同じようにアクセスできるからです。
お金(payment)も同じように機能したら最高じゃないでしょうか。
リップルCTO「送金の問題点がやばい」
現在、お金はかつての情報と同じように別々のシステムに捉われています。
もし私があなたにお金を払いたい場合、あなたがどんな銀行を使っているかを聞かないといけません。
そしてスピードも遅いです。
多くの支払いのネットワークは営業時間以外には稼働しないし、二者間のタイムゾーンが異なる場合は営業時間が重なる時にしか稼働しません。
何日もかかるうえに、とても不確かです。
自分の送金が正しく行われたかを確認するために電話をしなければならない人はたくさんいます。
その場合でも送金会社は「わかりません、数日後におかけ直しください」と答えることもあるし、送金が成功した場合でも完了のレシートも無いので厄介です。
国際送金の分野が最も破綻しています。だからリップルはまずはじめに焦点をあてようと決めました。
国際送金の問題は仕送りに関わり、貧しい人たちに強く影響を与えるからです。
リップルCTO「仲介業者の問題点もやばい」
お金は保管場所が必要です。
あなたのお金はどこかに存在していなければなりません。
ここにあるのなら、別のところにあってはいけません。
あなたが本当に必要としている場所にはなかなか届きません。
だからこそコストが高くつきます。
そこには複数の仲介者が存在し、すべての仲介者は手数料を取りたがります。
この手数料は膨大な額になります。
より低コストで送金サービスを提供するのが重要な理由のひとつです。
もし金融機関が利益を得られるくらいの額をあなたが持っていなければ、金融機関はあなたにサービスを提供しません。
あなたは、どこへ行っても銀行口座を作れるので、銀行が十分にありすぎると考えがちです。
しかし衝撃的なことに、統計によると2400万人のアメリカ人、世界で見ると17億人が銀行口座を持っていないのです。
つまり、金融システムはすべての人に届いていないのです。
これは消費者にとって辛いことです。例えば払い戻しの処理に関して見ると、口座がないため、約7%の企業送金はどこかで失われ、2から5%の消費者送金もどこかで消えてしまいます。最悪な体験をみんながしています。
リップルCTO「企業への負担もやばい」
さらにこれは開発者にとっては悪夢です。
大きいスケールで見ても、AmazonやAir BnB、Uberなどの企業は何百もの支払いのネットワークに対応するために何百人もの支払い専門のエンジニアを雇っています。
もし、あなたがこれらの企業と競争しようと思い、新しいビジネスを始めたりアプリを作り始めるとしたら、まず最初にやることは250種類もの支払いのネットワークに対応した何百人もの支払い専門のエンジニアを雇うこと…であって良いわけがありません。
リップルCTO「過去インターネットが解決したもの」
ではまずはインターネットがどうやって情報に対しての問題解決を行なったのかを見てから、どうやったら私たちがお金に対しての問題解決ができるかを見ていきましょう。
インターネットの特性とは何でしょう?
まずそれはどこにでもある(everywhere)と言うことです。
ここにいる全ての人はインターネットにアクセスできる方法があるでしょう。
そして信頼性があることです(reliable)。
インターネットは信頼性の低い部分で構成されていますが、高いレベルの技術によって一部が機能停止しても全体が機能停止しないし(fault tolorence)、
異常が起きたときに自動的に切り替え(fail over)を行うことができます。
つまり、うまく機能するということです。
そしてカウンターパーティがないことも挙げられます。
どこかひとつの企業がインターネット全体の技術サポートを行なっているなんてこともありません。
どこの場所に行っても同じサービスを受けることができ、すべてが他のものとうまく機能します。
とてもオープンなので、インターネットに繋がないという選択をする理由が見当たりません。
もしもあなたが、インターネットに繋がらないネットワークを提案するのであれば、「なぜインターネットに繋げないのか」「なぜ人々がアクセスしやすいようにしないのか」「なぜわざわざ物事を複雑にするのか」と問われるでしょう。
私たちが行いたいことは、情報が動くのと同じようにお金を動かせるようにしたいということです。こ
れは明らかにとてつもなく大きなタスクです。
だから私たちは国際送金から始めました。
ビジョンは価値のインターネットです。
インターネットが情報を動かすように、お金を動かすということです。
ビジョンは情報ネットワークと同じように支払いのネットワークも相互運用性があるようにすることです。
ビジョンは情報ネットワークと同じように支払いのネットワークも簡単にアクセスできるようにすることです。
リップルの「価値のインターネット」への2つのアプローチ
それを二つのアプローチに分けました。
まずはじめに取り組んだのは、RippleNetです。
金融機関向けの企業間送金ネットワークです。
彼らはいきなりオープンなネットワークに参加する準備ができていません。
それはインターネットの初期段階でにいきなりインターネットに飛びつくのが非合理的だというのと同じことです。
だから私たちはまず相互運用性のある企業向けの送金ネットワークを作ったのです。
しかしそれでは開発者が参加できません。
そのためにはオープンなネットワークが必要です。真にオープンソースでインターネットと同じようにアクセス可能でなければなりません。
企業向けに私たちはRippleNetというネットワークを作り、XRPが活用できそうなところではXRPを決済に使えるようにしました。
XRPが解決する問題というのは、送金の際にあらかじめ置いておく資金の解放です。
例えば、暗号通貨が無い状況で、フィリピンで支払いたい場合あなたは事前にフィリピンにフィリピンペソを用意しておかなくてはいけません。
もし月曜日に支払いがしたい場合、仮に金曜日が祝日なら、あなたは木曜日かそれ以前にお金を動かさなくてはいけません。
また、どれくらいの手数料がかかるのかをなんとなく計算しておかなくてはいけないのです。
RippleNetがXRPを使って行うことはこうです。
例えばアメリカドルでXRPを買い、XRPをXRP Ledger上で送り、フィリピンペソを必要なときに買えばいいのです。
リップルは、MoneyGramとの提携を発表しました。
MoneyGramはおそらく世界2番目の規模の送金会社です。
彼らは例えば、メキシコに多額のペソを持っておく代わりに、必要な時に必要な額を送金できるようにXRPを利用しています(On demand liquidity)。
今では200を超える金融機関がRippleNetに参加しています(※これは現在300以上)。
ご覧の通り、ここには銀行もあればノンバンクもあります。
彼らはRippleNetを使って国際送金を行ったり、XRPを使って決済をしているのです。
いかがだったでしょうか?
僕自身は、仮想通貨というものがまさに金融革命だと思っています。
LINEなどのコミュニケーションアプリは、インターネットに音声が乗ることによって、「通話の無料化」が行われました。
XRPはインターネットに価値を乗せることができるようになるので、おそらく送金手数料なども今後「無料」になるでしょう。
いまだに銀行に足を運んで、出金や振り込みをされている方もたくさんおりますが、
今でしたらオンラインで送金などすることができます。
しかしながら、やはり「手数料」は存在します。
時間も制限がある。
銀行に並んで、時間を消費することや、いつでも好きな時間に手数料無料で送金などができるようになったらどんなに素晴らしい未来が待っているのでしょうか?
本日は以上になります。